呼吸器外科での実際

胸腔鏡手術における3D画像の重要な役割

鈴鹿中央総合病院では、肺がんの手術に胸腔鏡下肺葉切除術(VATS)を全症例に採用している。胸腔鏡手術は、開胸手術にくらべはるかに低侵襲で予後が良好であると言われるが、その一方で非常に高度な技術と経験が必要とされる。この手術を安全にかつ確実に行うためには、Ziostation2が欠かせないと呼吸器外科部長 深井医師は語る。

「最大のメリットは、個人個人の肺動静脈の走行のバリエーションが、100%に近い正確さで再現されていることですね。私たちが行っている胸腔鏡を用いた肺がん手術では、血管位置の把握が手術の安全性に大きく寄与します。つまり術中に予想外の血管を傷つけることによる大量出血を未然に回避できるということが一番大きいです。従来の2次元評価しかできない時は、実際の手術で見るのとは若干違う状態でも何とか使用していたのですが、現在は3次元の画像を360度任意の方向から観察できるので、肺を展開する時に随時変わる血管の位置のシミュレーションが簡単にできます。例えばこの症例では、下葉の第一分枝の枝から上葉へと異常血管が出ていますが、それが一目瞭然分かるので、血管を損傷せずに上葉と下葉を分ける事が出来ます。開胸手術なら、たとえ出血させてもすぐに止血することができますが、私たちの場合は内視鏡を使って手術しているので、出血させてしまうと視野がなくなり手術できなくなります。胸腔鏡手術は、傷が非常に小さいので痛みが少ないですが、それを実現するためには、安全が担保されないと出来ないことですね。あらかじめ答えが分かっているというのは、非常に安心感があります。それに尽きると思います。現在年間で80例ほどになりますが、今後もっと増えていくと思います」

術前のシミュレーションのほか、手術中のナビゲーションとしても3D画像は非常に有用だという。

「手術前に症例検討をして、手術室でも確認しています。内視鏡を使って手術しながら、現在自分がどこにいるのかということを確かめながらできますから。360度好きな位置からみえるので、よいナビゲーションになっていますね。患者さんもよく勉強していて、"胸腔鏡手術は事故の時に対処しにくいって聞きますけど…"なんて非常に高度なことを知っている人もいるのですが、そういう人にこの画像をパッとだして、安全のためにこのような画像をザイオステーションで作ってもらってます、というと患者さんも非常に安心されて手術を受けられます。私たちが若い頃にはこんなのはなかったのでね。すばらしいですよ 」

深井医師はこう続ける。

「例えば、左の上葉にできた早期の肺がん切除の場合などで、社会復帰を考慮して上葉を全て切除したくない場合があるんです。そのような場合、上葉の中で上下の区域に分け上の区域だけ取る手術をします。そういう時でも、区域の静脈まできっちり映し出してくれているのでとても助かります。ですから、より複雑な区域切除手術になると、ザイオステーションの力なくしては手術はしたくないですね。これだけ鮮明に区域間静脈が分かっていると、区域を同定し損なうことはまずないと思います。それくらい、肺動静脈のバリエーションは本当に十人十色なのです。地域によっても違いますし。たとえば、三重県の人は右の中葉動脈の出方が典型的なんです。非常に高い位置から分岐する人が多いのです。私が前回いた名古屋ではたまに見かける程度です。今後、これを全例やっていくことによって、日本人のルーツを探ることが可能だと思いますよ(笑)」
深井 一郎 医師
「ザイオステーションの力なくしては複雑な手術はしたくないですね。若いころは頭の中でイメージしてトレーニングしたものですが、今ではそれがすぐに見えるんですよね。それでも、昔には戻りたくないですよ。やはりザイオステーションが使いたいですから」

呼吸器外科 深井 一郎 医師

三重県幸生農業共同組合連合会
鈴鹿中央総合病院

〒515-8630
三重県鈴鹿市安塚町山之花1275-53

診療科
23科
病床数
460床(一般)
URL
http://www.miekosei.or.jp/
鈴鹿中央総合病院

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